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「不安」の始まり
認知症介護【74】
2003年4月20日(脳梗塞後32日目)認知症のさまざまな症状が出始めていたババ。だが自分の変化に気づくこともなく、何もわからないまま時は過ぎていた。そのババが初めて自分の異変に気づいたのが4月20日である。ババはまるで大病を宣告されたかのように蒼白になり、取り乱していた。ババの誇りはズタズタになり傷ついていた。
自分がこんなことをするなんて!本当に自分がやった事だろうか?
しかも全くわけがわかっていない。自分のやっていることに気づくこともなく・・・。自分は何だかおかしい?!ババはかなりショックを受けていた。

ババは私に泣きそうな、情けなさそうな声で言った。
「
田舎に私を送って行って・・・。どこか施設にでも預けてちょうだい・・・。」
「お母さん?一体どうしたの?」
その日私は2階で、「
チー!チー!」と私を呼ぶババの声を聞いた。だがすぐにあることに気付き、階段を駆け降りた。外にいたババは私を呼びながらお隣の家に入って行ったのだ。奥さんがびっくりして応対している。あわてて迎えに行った。ババは「
どうしたんだろうねぇ?」と言いながら自分の家に戻った。その頃のババは外出先から帰ってきても自分の家がわからずよくお隣さんのフェンスを開けようとしていた。
そして午後、家の中で便の臭いが漂っていることに気づき、臭いの元をたどった。便の固まりがトイレ〜廊下〜ババの部屋〜ババの足背部まで点々と続いている。まずベッドに腰掛けているババの足をウエスで拭き始めた。ババはびっくりして「
どうしたのよ!何しているの?!」「便がついているから、拭こうね。」「
え〜〜?!」と自分の足元を見つめた。「
・・・」ババは足に便がついていた事にも気づいていなかったのだ。全部拭き終わった時、ババは深刻な顔をして切り出した。
「
こんな調子だったら、この先チーにもっと迷惑をかけることになるかも知れない。チーも苦労するよ。自分で自分のことがわからないのだから・・・。こんなこと・・・。」「何を言っているの!大丈夫よ!」
ババの認知症の病状はこの頃が一番重かったかも知れない。だが、同じような「不安な時間」はその後も時々ババを襲う。今もゆるやかに進行していると思われる認知症。ババの頭の中で「不安な時間」はどのように形を変えていくのだろう。いつか「自分はおかしいかも知れない」という不安な思いは、その思考の中から消えていくのだろうか。「不安」という感情だけを残して・・・。
2006年05月24日 | 認知症介護・日常_1 | トラックバック:0 | コメント:0
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