[介護ROOM-認知症の介護&憩いのひととき-]HPへ
心に残る「声かけ」
認知症介護【106】
少し離れた所に立っていたその男性は、新幹線が到着するとスッと近づいてきた。「何かお手伝いできることはありませんか?」
2005年10月29日のことだ。神奈川県在住の伯母(ババの姉)に会うためババと2人で出発した。JRにサポートを頼むことはできたがこの時は大丈夫だとの自信もあり、2人だけで乗り込むことにしていた。車椅子はチタン製で折り畳むことができ、軽い。ババも少しぐらいなら杖使用で歩くこともできる。荷物は大きなリュック1つだけ。背負えば両手が空くので、片手に車椅子を持ち、片手でババをフォローすれば大丈夫。新幹線がホームに到着するまで車椅子に座ったババと私はたわいもないおしゃべりをしていた。30〜40歳代前後?と思われるその男性は大きなトランクをそばに置き、私達から少し離れたところにいた。海外旅行でもしたのかなぁと思いながら眺めた。

男性に声をかけられて内心、手伝ってもらわなくても大丈夫との気持ちはあった。だが、あまりにさりげなく抵抗感のない声かけに甘えることにした。そして直に予測できなかったことが起き、実は手伝ってもらわなければ乗れなかった状況だったことを知る。
いつもなら杖や手すりを持てば5〜20m位の移動はできるババの足が前に出ないのだ。「
どうするの?どうするの?」といいながらこわばり、前進できない。しかも座席は乗車したドア側から最も遠い次の号車へ行くドアの前、最前列だった。他の乗客も次々と乗り込んでくる。ババに声をかけながら両手でフォローし、どうにか席までたどり着いた。車椅子を持ってくれた男性は届けるとすぐにいなくなってしまった。ろくにお礼も言えなかったのである。その後の新幹線の乗り降りは全てJRに援助をお願いし、スムーズに乗り降りすることができた。
ババと外出する時は、本当に多くの方が声をかけてくれたり、手を貸してくれたりする。私が1人で外出する時とは全く別の世界が広がる。たくさんの善意。その声かけの中でも忘れられない言葉・・・。「
何かお手伝いできることはありませんか?」さりげなく押し付けにもならず、警戒心も解く宝石のような言葉だ。
2006年08月14日 | 認知症介護・日常_1 | トラックバック:0 | コメント:10
▲ページトップに戻る