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記憶障害
認知症介護【84】
認知症の症状として「記憶障害が大きい(短期、長期記憶は低下するが超長期的記憶は比較的保たれている)」(認知症介護【32】参照)とある。遠い昔のことは比較的覚えていて、最近のことほど忘れやすいということだと思う。その最近の記憶の中でも頭にインプットされること、されないことがある。その違いは何なのだろうか?ババの場合、ほとんどを忘れてしまうのでなくその中で記憶していることもある。
6月7日の私達(私、ババ、私の実母、甥の4人)の行動の流れはまず屋敷を見に行き、それから昔からお付き合いの深かったY家に寄り、その後魚料理の美味しい飲食店で昼食をとり、帰宅するというものだった。
家屋敷へ下りる坂の上に雑貨屋がある。帰郷の度に顔を出しているそのお店のおばさんに声をかけた。おばさんはお化粧をして若々しかった。ババは車の中からおばさんと言葉をかわした。それからいよいよ家に向かったのだが、その時点でもうお店のおばさんと会ったことは忘れていた。(会ったということを認識していない)
私達が何とか家の前まで進もうと相談している時、道を挟んで向側の家のご主人が出てきた。彼は進入路の草を刈って道をつくってくれた。奥さんとは親戚にあたるのだがご主人とは初対面だ。ババに説明はしたが、相手が誰だかさっぱり理解できなかった。しかしこの場合は無理もない。
屋敷への出入りを甥に背負ってもらい、門の場所で腰をかけ、すっかり変わってしまった家の跡地を眺める。しかし、悲しいかな、一番望んでいたこの時間はババの記憶に残っていない。私達はこの時間のために帰ってきたのだ。覚えていたのは甥がババを背負ってくれたことだけだ。後で「
小さい頃は逆に私がしょっちゅうおんぶしていたのよ〜!」と言って笑った。今度は甥がそのことを覚えていないと首を傾げた。

そして親子同様の付き合いをしていたというY家を訪ねた。ババはお世話になったそのおじさん、おばさんがまだご健在だと思っていた。(もうとっくの昔に亡くなられている。)
世代は代わり、今はその息子夫婦(70代)が住んでいる。その息子夫婦ともなじみの間柄だ。訪問時は奥さんだけが在宅だったが、遠方からのババの訪問をとても歓迎してくれた。
私とババは家の中へ上がらせてもらった。てっきりおじさん、おばさんが中にいるものだと思い込んでいたババは仏壇の前でびっくりした。「
亡くなったことも知らなかったなんてねぇ・・・」そして奥さんとお互いに本当に世話になったと言葉をかわしあった。
とても大切なこの訪問もババの頭の中ではもやのなかだった。「
とっても親しく、優しく声をかけてくれたあの人は誰?」奥さんはババも本当によく知った人なのに、ババの頭の中では別人だった。
最後の外食だが「
あれは良かったねぇ〜!とっても美味しかったねぇ!」としっかり覚えていた。だが同席した人は覚えていなかった。
認知症が更に進行すれば、瞬間人と呼ばれるほど記憶力が低下し、周囲が喜んで頂くために何をしても記憶に残らないという。気力が抜け、悲しい思いをしている家族がどれほどいることだろう。
ババの記憶に残る可能性に賭けて、帰るまでにババにとって大切な思い出の場所へもう一度でかけてみようと思う。
2006年06月11日 | 認知症介護・日常_1 | トラックバック:0 | コメント:4
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